史跡芭蕉翁生家は、伊賀城下町東北の出入口、当時、町屋と下級武家屋敷、農家が混在する赤坂町にあって、芭蕉の父松尾与左衛門が柘植から移住、兄の半左衛門がそれを受け継ぎ、明治時代まで松尾家が住んでいました。現在の家屋は芭蕉の父の当時のものでなく、伊賀地方特有の左片袖通し土間の構造から江戸末期のものと推定される建物です。
昭和30年に市の史跡に指定されて以来、何度かの修理を行いながら一般公開を続けてまいりました。しかし、経年による傾きや隙間、雨漏、耐震性の確保などのため、平成30年から休館して伊賀市によって大改修が行われました。
この大改修の前に、施設の観覧だけではなく芭蕉や当時を偲ぶ事業の実施などの施設活用や貴重な史跡、財産の改修方法について保存改修検討委員会で検討されました。
この改修によって、かつての風情や町屋としての様子を可能な限り残しながら、安全にご覧(ご利用)いただけるよう工夫されています。
当施設は観覧だけでなく、芭蕉さんの家族にでもなった気分で座敷に上り、俳句会などにもご利用ください。そして芭蕉翁顕彰会でも、芭蕉さんや俳文学について学ぶ大人の寺子屋・こどもの寺子屋などを開きます。
ぜひ、「史跡芭蕉翁生家」を訪ね、寺子屋などへもご出席ください。
料金 | 大人(大学生以上):300円(団体:200円) 小中高生:100円(団体:60 円 ※引率者は無料) ※団体割引は20名以上 芭蕉翁記念館・蓑虫庵・史跡芭蕉翁生家の3館共通券:750円 未就学児:無料 障がい者手帳をお持ちの方:無料 (MIRAIRO ID ご利用いただけます) |
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開館時間 | 8:30〜17:00 入館受付は16:30分で終了します。 |
休館日 | 火曜日(祝日の場合は直近の祝・休日でない日) |
電話 | 0595-24-2711 |
芭蕉翁と生家
芭蕉翁は寛永21年(1644)、現伊賀市で生まれました。両親と6人の兄弟の中で育ちました。大きくなった芭蕉は、藤堂藩伊賀付の侍大将藤堂新七郎家に奉公に出て嫡男の良忠に仕えることとなりました。俳号を蝉吟(せんぎん)といった良忠の縁で、京都の北村季吟(きたむらきぎん)に俳諧を学ぶ機会を得たと思われます。
良忠の死後、芭蕉はそれまでは趣味としていた俳諧を職業とし、俳諧師として生きるために江戸へ出ます。父の死後、当主は兄となっていましたが、江戸へ出た後も法事などで家へ戻り、故郷の人々と交流を持っていました。自筆の遺言状も実家の兄半左衛門宛に送られています。